9月に直腸に見つかった「がんもどき」。診断がようやく確定したのは、クリスマスのことだった。それまでの日々はなかなかストレスフルだった。どのくらい深刻で、どんな手術が必要で、いつ・何日入院することになるのかーー?
仕事を3つかけもちしているので、入院となればそれぞれの職場で休暇を申請しなければならない。不安というよりその不確定さ、宙ぶらりんの状態がしんどかった。考えなければならない(と、その時は感じていた)ことが多すぎた。
そんなタイミングで、新聞一面下の広告に見つけたのがこの本だった。もやもやと混乱した頭の中は、表紙左側のイラスト(糸がこんがらがったような絵)そのものだった。今読むべき本だと直感した。
エッセンシャル思考とは、本当に重要なことだけを自分の意思で選び、そこに時間・エネルギー・能力を集中させる考え方である。より多くのことをやりとげる技術ではなく、正しいことを見極めて確実にやりとげるための技術だ。
より少なく、しかしより良く
エッセンシャル思考の核心は、この一言に尽きる。非エッセンシャル思考の人とエッセンシャル思考の人では、考え方に以下のような違いがある。
| 非エッセンシャル思考 | エッセンシャル思考 |
| どれも大事 | 大事なものはめったにない |
| どうすれば両方できるか? | どの問題を引き受けるか? |
| やらなくては | これをやろう |
| 多くのことに手を出すがすべて中途半端 | やると決めたことについては最高の結果を出す |
| もう1時間睡眠を削れば、もう1時間仕事ができる | もう1時間眠れば、数時間分の生産性が手に入る |
| やりつづければ、いつか報われる | これをやめたら、何に時間とお金を使える? |
| 境界線は自分の力を制限するものだ | 境界線を引くことで本当の力が発揮できる |
| 応急処置でつぎはぎだらけになっていく | 本当の問題を見極め、一度だけメスを入れる |
| 昨日や明日の問題について考える | 目の前の問題を考える |
| 未来への不安や過去の失敗を思い悩む | 今を楽しむ |
世の中の大半のものはノイズ(無価値)であり、本質的なものはほとんどないという事実。そのことに気づき、多数の瑣末なものごとのなかから少数の重要なものごと(本質)を見抜く。そして、その本質から決して目をそらさず、豊かで意味のある人生を生きようと著者は呼びかける。
「本当に重要なのは何か?」
それ以外のことは、全部捨てていい。
非エッセンシャル思考に陥っていた頭の中が、表紙右側のイラスト(”Essentialism”を囲む輪の絵)に近づいた。図書館で借りて読んだけれど、けっきょく購入。手元に置いて何度も繰り返し読みたい。さあ、人生に残されたかけがえのない時間で何をしよう?
| 書名 | エッセンシャル思考ーー最少の時間で成果を最大にする |
| 著者 | グレッグ・マキューン |
| 出版社 | かんき出版 |
| 出版年月 | 2014年11月 |
| ページ数 | 320ページ |

