『山女日記』みたいに登りたい

小説

登山にはずっと興味がなかった。それが数年前にテレビで、日本百名山の登頂を目指している人のドキュメンタリーを見て以来、山に行きたい気持ちが年々強くなっている。

そういう歳になったのかな、と思う。健康のためにジョギングを始めたり、山に登りたくなったり(笑)

これから登山を始める人が読むと登りたくなるような本はないかと探していて、この本に出会った。目次に並ぶ山の名前――妙高山、火打山、槍ヶ岳、利尻山、白馬岳、金時山、トンガリロ――にワクワクする。

読み進むうちに、湊かなえさん自身が山女に違いないと確信した。山の描写、登山の描写がリアルすぎるのだ。

だけど、この道、両脇に目をやれば至るところに溢れんばかりの花が咲いている。振り向くと、強い風が白いガスを吹き飛ばし、かなり下の斜面まで見下ろせるようになっている。緑地に白い花の絨毯。その向こうは黄色い花の絨毯

↑きっと湊さん自身が利尻山で見た景色だと思う。

平日とはいえ八月第一週の晴天の日に、一〇代、二〇代の登山者の姿を見かけないのはどういうことなのだろう。若い女性に流行っているのではなかったのか。百名山で、難度も中級で、見どころも多い山なのに、ここに来ずして、どこを登るというのだろう

↑湊さんが白馬岳を登ったときに感じたことなんじゃないかな…。

期待どおり、山に登りたい気持ちでいっぱいになった。そして、悩みや迷いを抱えた登場人物の女性たちに、大いに共感した。

それぞれが複雑な思いを胸に、なにか答えのようなものを求めて山に登る。それぞれに事情があり、思うところがある。「がんばってるね、それでいいよ」と一人ひとりに声をかけたくなるような、優しい物語だった。

一昨日退院したばかりなので、まずはしっかり体を回復させる。そして体力が戻ったら、まずは地元の山の頂で、コーヒーを飲みたい。

書名山女日記
著者湊 かなえ
出版社幻冬舎
出版年月2014年7月
ページ数292ページ